【「ライフスタイル・イノベーション」という起爆剤】

 

日本のブルーオーシャン戦略の成功事例で、草分け的に有名なのは、ソニーの「ウォークマン」でしょう。1980年代当初、一般的なユーザーの音楽機器の嗜好の中心は、リビング等に大型のコンポーネントを設置し、高機能&高音質を楽しむ事でした。その主流と真逆をいったのが「ウォークマン」です。機能や音質は、ハイエンドなレベルを省くことで、小型のポータブル機器に可能な限りコンパクトに凝縮し、「屋外を歩きながらでも音楽が聴ける」という、新しい楽しみ方をユーザーに提供しました。若年層を中心とする多くのユーザーが、「音楽を持ち歩く」という新たな楽しみ方に共感して、絶大的な支持を得たのです。

「今までの生活にはなかった楽しみ方」・・・すなわち「ライフスタイル・イノベーション」であり、ユーザーの価値観に変革をもたらす付加価値です。巷ではポータブルカセットプレイヤーを総称して「ウォークマン」と呼ばれるほどの社会現象が巻き起こり、「ウォークマン」という商品のブランド化に成功したことにより得たソニーの「先行者利益」は相当なものでした。

「ライフスタイル・イノベーション」という起爆剤で、先行者利益を獲る。これはニッチ市場で独自のポジションを築いたパイオニアが得られる何よりの恩恵でしょう。